第1部:ローカル・マニフェストの誕生と地方分権
政治改革4法により小選挙区制が導入された。2大政党化促進・政権交代が可能となり、有権者の選択肢の幅は増大するに至った。
さらに今後求められるのが地方分権化となる。現在は縦割り行政であり県の役割、国の役割、市の役割があいまいで、互いの境界がアヤフヤなところに癒着が生まれ、効率的な行政運営を阻害している。
地域戦略計画としてのローカル・マニフェストを作成するのが難しい理由としては、交付金等に依存せざるを得ない今日の3割地方自治の現状において、収入が年度ごとに不安定なことがある。交付金等の今後の削減幅は不明瞭であって、当然予算が組み難くなっていく。
しかしながらローカル・マニフェストを作成することは、問題の明確化につながり、戦略立案には欠かせない工程でもある。現状、地方自治体に権限がない諸問題が多すぎる。 水俣市 の最終処分場建設問題でも現職市長が建設事業中止を明言できなかったのは、処分場建設の許認可権が市にないからであった(これをはね除けるには特区申請しかない)。事業の凍結はあっても中止は出来ないのが地方自治体の現状である。
ローカル・マニフェストの有用性・意義としては、選挙戦に臨んで立候補表明者が政策を詳細に提示することで、当選後の部局長との交渉も速やかに行えるのと、当選した首長の公約が最大の担保であるから議会との交渉も速やかに行えることが挙げられる。議員に比べ、執行権を有している首長の影響力は大きいのである。よって改革も速やかに行われる。
政策(首長)
↓ ↑
施策(部局長 幹部)
↓ ↑
事務事業(担当者 課・係)
行政を評価しようという試みは、行政内部では1995年度 北川三重県知事が提唱し初めて実施されている。
(この場合の三重県では、事務事業評価と施策との間の円滑なすり合わせを目指した。しかし内部での自己評価だから当然評価は甘くなる。公正な評価であったのかどうかについては疑問が残ってしまうが。)
首長の政策を評価する機会としては有権者の参画する選挙が最たるものだろう。しかし政策があいまいでは市民はこれを評価しようがない。首長が政策をつくらないまま当選してしまうと、幹部クラスで政策をつくることにもなるし、市民がこれを目にする機会を逸してしまう。政策が行政内部のみで組み立てられ、評価され続けてきたのが現状だった。 ローカル・マニフェストは現状の政策の『官主導』を『民主導』に変えることが出来る。政策を選択するのも、評価するのも市民となる。(これまで市民の意見を行政に反映させるために有権者の中の識者により審議会・懇話会などが開催されてきたが、その構成員は概ね行政側に近い考えの市民によって占められ、これらが広く周知を集める機能を有してきたのかどうかは疑わしい。)
第2部:ローカル・マニフェストの評価
これまでなされたローカル・マニフェストの市民評価は2・3例(ほとんどは自己評価に近い)
専門的な評価を市民がやるべき、とは思わない。市民は数値や項目を無数に並べた評価書を作成することよりも、サービスを受ける側の満足度を優先して政策評価を行うべきである(環境問題についていえば、検知された科学物質が基準以下であるのかということよりも、日頃環境に接する市民が市民の目線で外観・景観等をいかに判断するのかという方が市民にとっては意味があるのではないのか)。
行政内部でのチェックと市民の目線を複眼視的に組み合わせ、補完しあうことを目指すべきではないのか。達成度チェックは行政内部でやればよい。相互補完を通して自治体そのものレベルアップを目指す。
以下、年次ごとの評価のフローチャート
当選1年目:形式評価(マニフェストそのものが地域の戦略であるのか)
有用評価(地域の課題にあっているのか)
マネジメント評価(マニフェストが『まちの総合計画』にどのように盛り込めるのか)
リーダーシップの発揮加減
庁内マネジメント(例:古川知事の組織改革)
アカウンタビリティ(説明責任 事務事業を担う担当者にとっては首長の掲げたマニフェストが達成すべき目標となる)
当選2年間:中間報告
当選3・4年目:到達度・実績評価
評価・検証の本来の目的とは行政へ市民の参画を求めることにある。環境には環境に、福祉には福祉に詳しい市民の参画を求める動きをつくることが大事である。
→批判から提案、推進へ(有権者も当事者になる)
→自分だったらこんなことが出来るのに、こんなやり方があるよ、という動きをつくることが出来る。
評価・検証事業に取り組む上で、先ずやるべきことはどこに(どの団体に)専門的な知識や人材が集約されているのか調査し、このネットワークを構築することである。偏った評価にならないために、より沢山の周知を集めなくてはならない。ワークショック、アンケートなどを実施するのもよい マスコミだけでなく地元の責任世代が自分達で評価を下すことで、市民の政治・行政への関心を高める。
なるべく沢山の方が関わることで、偏った判断・評価を回避できる(一つの項目について、複数の意見や評価を列記するのも必要となる)。専門家がやるべき評価は専門家がやればよい。達成度チェックではなく市民にとっての満足度を確認することを目指す。正確に評価することよりも、評価・検証をきっかけに市民の参加・参画をめざす機会を演出するよう心掛けるのである。
その上で必要な市民ネットワーク構築において必要となる、核となりうる組織は『青年会議所』以外にありえない。
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