11■中国遠征効果、佐藤快投
窮地に追い込まれると実力を見せる男なのか。チームの大黒柱立石が遠征先の八幡から陸路球場を目指していたころマウンドに立ったのはなんちゃってエース佐藤裕だった。今まで2番手に甘んじていた佐藤はこの日は別人だった。中国遠征で2試合連続2安打を放った男はその右腕から繰り出される速球で三振の山を築く。ボールが先行してもこの日は崩れることはなかった。今までにない快投を見せ先制を許すも終わってみれば無四球完投、チームを2回戦へと導いた。ただ2回戦では立石の顔を見ると途端に球がうわずりあっけなく2回で降板。エースの前ではわきまえてるのである。しばらくはこの武勇伝で耳にタコが出来そうである。 |
5■配分を間違えた2番打者
エリア大会で今までにない馬鹿当たりで安打を量産したケンジがこの日は沈黙。今大会に取っとけばいいものをエリア大会で出し尽くしてしまうもんだから肝心なところで“使えないヤツ”のレッテルを貼られた。守備でもあんなに言ったのにライン際に位置し三遊間の当たりを捕球できない。しかも2年連続で屈辱の最終打者になってしまった。“あいつを信じた俺が馬鹿だった”と藤木監督は嘆いていた。大会終了後は来期キャプテンを自ら買って出たが選手選考の決定権は監督にあるのである。ケンジによる田代時期監督への贈り物攻勢が始まるのである。懇親会で熱唱してた“栄冠は君に輝く”は酷いものであった、あれじゃ栄冠どころか悪寒が走るのである。 |