―理事長所信

【スローガン】
ポジティブ・チェンジ

はじめに

 世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルスは、いまだ完全収束の目途が立っていません。この間約2年、人々のライフスタイルは一変し、企業による経済活動も変化を余儀なくされました。もちろん、 私たち J Cにおいても例外では ありません。 今までのように地域活性化を図る事業に人を集めることも 困難になり 、 例会や理事会といった集まりも、対面式ではなくWEB形式での会議への 移行 をせざるを得なくな ったことで 、 団体として停滞してしまったことは否めないのではないかと思います。果たして 現状 のままで、JCは持続可能な存在であるのかどうか、我々は真剣に考えなければなりません。JCという団体は、 地域住民の方々から必要だと思われる団体 でなくてはならない。 時代が変わろうとしているまさに今こそ、そのような存在であるべきなのです。
 しかし現状を冷静に見てみると、全国各地のLOMで会員数の減少という共通の課題を抱えています。私たちJCI朝倉も例外ではなく 、 5年前の2017年度に54名だった会員数は2021年度には26名となり、 ここ 5 年間で会員数は50%以上減少してしまいました。 今まで私たちは、明るい豊かな社会の実現に向けて様々な事業を展開してまいりました。 地域のリーダーとして、率先して行動してきたという自負もあります。しかしながら、 このままのペースで会員数が減少してしまうと、JCI朝倉という組織自体が消滅しかねません。さらには 前述の通りコロナの影響もあり、私たちの思い描くような事業の構築がうまくでき ず 、開催が可能かどうか不透明な事業に対して、目的や動機が不明瞭なまま事業を構築してしまい、事業を開催すること自体が目的になってしまっている ような気がしてなりません。 今一度 、何のためにJC活動を行っているのか、そもそもJCとは何なのか、 自分たちのアイデンティティを取り戻すことこそ、私たちに必要なことではないでしょうか。 私たちの存在意義をしっかりと再確認 することで 、抜本的な変化が求められるコロナ後に 向けて 新しい価値観を生み出すことができるのです。

持続可能な組織へ

 会員減少が長年続く現状、万が一このような状態が続いてしまうと、近隣他LOMとの合併や吸収合併なども検討せざるを得なくなります。SDGsの積極推進を掲げるJCは、組織そのものが持続可能であるべき団体です。今後は今まで以上に様々な価値観を受け入れ、行動様式を変化させていかなければなりません。今後は私たちミレニアル世代に加えて、いわゆるZ世代と呼ばれる世代が中心となっていく社会となり、1つの価値観に固執するのではなく、多種多様な価値観を受け入れることが必要です。組織の存続という観点と、新しい価値観の共有という観点から考えても、同じ志を持った仲間を増やすということは必要不可欠であり、もはや待ったなしの状況です。また、これまでのように会員数を求めることも重要ですが、現実的に拡大対象者そのものが減少していることは否めません。今まで以上に会員の質を重視した拡大活動を実施することで、LOMの「密度」を濃くすることも重要です。メンバー全員が危機感と持続可能な組織であるための共通認識を持ち、全員で会員拡大を行っていきましょう。

組織の再構築と意識改革

 2021年度、JCI朝倉は公益社団法人から一般社団法人へと法人格を変更いたしました。法人格が変わったとしても、私たちが目指す理念は変わることはありません。ただ、近年私たちは結果ばかりを追い続け、その過程を軽視していたのではないでしょうか。もちろん、結果は大事です。そして結果がすべてだと思います。ですが、結果を追い求めすぎると、新しいことに挑戦することに対して高いモチベーションを持つことが非常に困難になります。本来私たちJCは、明るい豊かな社会の実現を大きな理想に掲げ、その理想の実現のために自身の成長を目指す組織だと、私は考えています。新しいことにチャレンジし、自身が成長するためには、必ずしも成功する必要はありません。寧ろ失敗から多くのことを学び、それが成長の糧につながります。失敗を恐れず、果敢に新しいことにチャレンジする精神を育むために、組織として効率化を図り、新しいことをどんどん取り入れてまいります。

情報の積極的な発信

 IT化が定着し、デジタル・ネイティブという言葉も生まれた今日、皆さんはどのような方法で情報を取得しているでしょうか。以前に比べて情報を取得する手段が大幅に増え、そのスピードも格段に速くなりました。そのような社会において、正しい情報を迅速に発信するということは、私たちJCのような組織だけでなく、普段メンバーが働いている企業においても最重要事項であると言えます。しかし、我が国日本はこの情報化社会に十分適合しているかどうかと自問してみると、正直甚だ疑問です。一連の新型コロナウイルスへの対応についても、デジタルインフラの普及の遅れによって対応がすべて後手に回ってしまった感は否めません。  翻って私たちJCは、正しく迅速に情報を発信できているでしょうか。地域住民の方々や行政、自身の家族は、私たちの活動を正しく理解できているでしょうか。もちろんこれまでも、積極的に情報を発信したつもりでしたが、その頻度や内容についてはもっと改善の余地があるのではないかと思います。より積極的に、より戦略的に、そして一方通行ではなく相互に情報発信を行うことで、JCの認知度は格段に上がるでしょうし、JCというブランドイメージも上がることでしょう。私たちが行っているJC活動は、決して間違ったことをやっているわけではありません。自信をもって多くの方々に私たちのことを知ってもらいましょう。

地域の未来をつくる

 上記の通り、新しいことへのチャレンジと情報発信は、私たちの存在意義を示す意味でも最重要事項です。そのベクトルは、当然外に対して向けることも必要です。ここ2年ほど、新型コロナウイルスの影響により思うような活動を行えなかったのは、当然ながら私たちJCだけではありません。誰に対しても時間は平等ではありますが、特に子どもたちにとって、その1年や2年という時間は大変貴重であるべきです。コロナ禍の出口が少しずつ見えてきたなかで、一生に一度しかない今という時間を取り戻し、子どもたちの未来を再構築する手助けを、私たちはしなければなりません。たしかに、今までのように人を多く集めて子どもたちの成長を促すような事業開催は困難かもしれません。しかし、再三申し上げているように、今こそ私たちJCが新しいことへチャレンジするべきです。何をやるのか、ということ以上に、どのような手段で事業を行うか、という観点が重要になってきます。コロナ禍であろうとなかろうと、今までとは違う形にチャレンジすることで、子どもたちのためになる事業展開は可能です。子どもたちに負けない新しい発想で、ニューノーマルにチャレンジしましょう。

終わりに

「物事は変わらなくてはならない。とりわけ変化を求められるものが一つあるとするなら、それは自分の内面世界だ」

 かのボブ・ディランが言った言葉です。

 新型コロナウイルスにより変化をした社会に求められるのは、変化を遂げた私たちの姿です。内面から変化をするためには、多くの仲間の多様な価値観が化学反応を起こすことが必要です。仲間を増やし、新しい価値観を作り、そしてJCという組織がメンバーを育てる。これはまさに、JCI朝倉創立50周年で提言されたビジョンと合致します。私たちが変化をすることで、周りの人たちの刺激となり、地域全体が変わっていく。そのような求心力のある団体こそ、JCI朝倉に求められている姿なのです。