第51代理事長 西村直哉

一歩

「踏み出したその一歩が道となる」

はじめに

 厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりの日本人 が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる 。そうした日本で ありたい。そのような願いが込められ、令和という時代は幕を開けました。これまでJCは 大きな理想に向かい日々JC運動に励んできましたが、自然災害や急激な変化を続ける社 会情勢など、私たちを取り巻く環境がいつの時代も常に大きな壁となり立ちはだかってき ました。しかし、朝倉JCは50年間一度も立ち止まらず、様々な苦難を乗り越え、その時 代に合わせ、時には歩む速度を変えながら一歩一歩前進し続けてきたのです。この歩みを私 たちが止めるわけにはいけません。現在も様々な問題を抱える私たちですが、この現実を悲 観的に捉えず、時代に即した組織へと改革できる絶好の機会であると受け止め、変化を恐れ ない組織へと成長していこう。

ビジョンの継続

 朝倉JC創立50周年の中で、未来のことを考え、未来について話し合い、そして新しい ことに果敢に挑戦するJC運動を邁進するために、【つくる】【ふやす】【そだてる】という ビジョンが提言されました。未来のことは誰にもわかりませんが、未来が誰の手に委ねられ ているかは明確です。私たちの未来を明るく豊かにできるのは、私たち自身だけなのです。 地域の未来を想い描き、誇りと情熱を持ち続け率先して行動し、心躍る素晴らしい未来を目 指すために、このビジョンをもとに創立60周年に向けた新たなる一歩を踏み出そう。

覚悟を持って行う会員拡大

 ここ数年会員減少の歯止めが効かない状況が続いており、現在の会員数は、朝倉JCが最 大会員数であった時の半数以下という状況です。本年度、来年度も多くの卒業生を抱えてお り、組織の存続すらも危ぶまれるこの状況で私たちはいかにして会員拡大を成功させるの しょう。各地のJCでは拡大手法や成功事例は幾つも存在していますが、それを真似てみた としても、この地域で会員拡大が成功するとは限りません。今私たちに一番必要なのは本気 になる覚悟ではないでしょうか。多くの入会間もないメンバーで構成された現在の朝倉J Cはまだまだ未熟な部分もあるかもしれません。しかし、若者であるJCの会員であるから こそ、個々の理想や未来への期待を口にし、使命感を持って行動していかなければならない のです。私たちは色々な動機の基でJCに入会しましたが、多くの事業や単年度ごとの多様 な役職経験、メンバーや様々な場面で関わってきた多くの方々との出会いを通じ、少しずつ 自己変革がもたらされ、JCに入会した価値を感じているはずです。今こそ私たちは、会員 拡大の必要性を改めて問い直し、これまで得た価値を最大限表現しながら、情熱をもって同 志の拡大に取り組もう。

明るいまち朝倉へ

 2020年は、4年に一度のスポーツを通した世界的な平和の祭典「東京オリンピック」 が開催されます。205の国と地域から選手やそれを応援する人びとが日本に集まること で、日本中が活気と希望に満ち溢れた「明るい」雰囲気に包まれることとなるでしょう。こ の機会は、未だ災害の傷跡を多く残す朝倉地域を明るく照らす絶好の機会にもなるはずで す。朝倉地域の誇りであった豊かな自然、美しい風景は今になってもいたる所で災害の爪痕 を多く残し、復旧・復興への道のりは非常に長く険しく、未だ被災された多くの方の心に傷 跡を残しています。もちろん、これからも被災された皆様に寄り添い、ふるさと朝倉の復旧・ 復興に力を尽くしていかなくてはなりません。しかし、今私たちがこの地域から何を求めら れているのかを改めて考えてみましょう。私は、幼少期から現在まで様々なJCの事業に参 加させていただきました。幼少期はJCの事業という認識はありませんでしたが、入会後に 「あの事業はJCがやっていたんだ。」と気づくことが何度もありました。そして、幼少期 から参加してきた事業を通してこの地域の自然や・歴史を学び、郷土愛を育むことができま した。その背景には、子どもたちは笑顔で遊びまわり、それを優しい笑顔で見守る大人がい る「明るいまち朝倉」がありました。その「明るさ」こそがこの地域に、そして復興の先に 必要なものだと感じています。今こそ私たちの持ち前の明るさとリーダーシップでこのま ちをさらに明るく照らしてこう。

新たなる組織への変革

 朝倉JCは2009年の総会にて公益社団法人格移行へと動きだし、2013年より正 式に公益社団法人へと移行し6年が経過しました。2009年の総会の決議からすれば1 0年の歳月が流れたことになります。私たちは、公益社団法人として歩んだこの6年間、公 益社団法人として公益性の高い事業を展開し、この地域に貢献してきました。法人格移行後 も私たちはJCとして為すべきこと、この地域への強い想いは何一つ変わっていません。し かし公益制度を遵守する代償として、組織運営に支障をきたしてきたことも事実です。その 上で、私たちはこの地域のさらなる期待に応えるためにも、改めてこの法人格の在り方を見 つめ直す時間が必要と考えます。これから先、3年前と同じような天災に見舞われた時に、 より迅速に対応できるように。地域から求められるものが変化した時に、臨機応変に対応で きるように。よりシンプルに、より効果的にJC運動を行うために。そのために今一度法人 格の検証を行います。決して後ろ向きではない組織変革行い、変化を恐れず勇気を持って一 歩踏み出そう。

組織運営の礎とブランディング

 私たちメンバーが一堂に集まり、様々な意見交換やLOM方向性を確認する大切な場が 例会です。ただ、そこにはメンバーそれぞれに何か一つでも「学び」がなければ例会の意義 を成しません。その「学び」こそが例会の出席率向上にも繋がるものであり、朝倉JCの魅 力を高めることにも繋がります。メンバーの貴重な時間を使って行う例会が、形骸化したも のにならないよう参加して良かったと思える例会を開催する必要があります。また、日頃よ り多くの時間を費やし行われる会議では、円滑な運営が求められます。この組織の運動の根 幹となる事業はこの会議から生まれていくのです。充実した会議と組織運営を行うことに より、より魅力的な組織へと進化し輝きを放つはずです。私たちの運動は何のために行って いるのかを考えた時にメンバーの誰もが持っている利他の精神が、JCの活動へと奮い立 たせているはずです。その確固たる想いを更に伝播していくには、より多くの方の協力が必 要となってきます。そのために、時代に即した効果的な広報を行い、質と量を兼ね備えた広 報活動を行うことで朝倉JCファンを増やしていこう。

終わりに

 JCしかない時代からJCもある時代に変わってきた今でも、私たちに求められている ことは、ここ数年の活動や、地域や様々な団体からの要望を見てみても、やはり「地域のリ ーダー」であることは明白です。更にその期待にこたえるために、そしてこの地域を持続可 能なまちにするためにも、今一度正しいコミュニティ意識が必要なのです。「自分はこの地 域社会(コミュニティ)に住み、様々な人間関係の中で生活している。この地域社会に起こ ることはどんなことでも自分に関することである。この地域社会に住む以上どんなことで も自分一人だけのことではないし、自分一人では何もできない。」このことは、LOM内の 意識においても同じことが言えます。私たちは今一度地域社会の一員として、JAYCEE として、地域のリーダーとして、当事者意識を持ち共に40歳までのJC生活を実りあるも のにしよう。そして、私は、ここで生まれ育ち、これから先も生涯住み続けるであろうこの 朝倉地域に、いかなる困難が訪れようとも真摯に向き合い、これから先も愛する人々が笑顔 で暮らせる郷土愛に満ち溢れた「まち」にしたい。だからこそ一人でも多くの仲間と想いを 一つに一歩一歩前進し続けます。

 踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。迷わず行こう。行けばきっと分かるはずさ。